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こわいはなし

今日はまったく趣旨を変えて怖い話を、夏ですし

昔どこかのサイトで見てぞわっとしたものですが、昔話にしろ何にしろ一度見ただけのものを何年たっても覚えているということは自分では希少なので…

その覚えているもののうちのひとつです

怖い話いやだって人は無理せずすっ飛ばしてください

 

 

私たちは修学旅行に山間部の旅館にやってきた

露天風呂や広いラウンジで思い思いに過ごし、いよいよ就寝

私たちの班は4人のグループで、部屋も小ぢんまりとしたもの

2階の端の部屋で、隣は別の班、向かいは物置だった

「もっと真ん中の大きな部屋が良かったね」とか、「いやでも静かで良いじゃん」と話しながら布団に入る

「佐藤さー、唯子のこと好きなんだって!」「この旅館さ、昔火事で人が死んでるらしいよ~怖くない?」なんて雑談しているうちに段々睡魔が襲ってきて、気づけば眠りに落ちていた

 

どれくらい時間がたったか、ふと私は変な音を聞いた気がして目を覚ました

あたりは真っ暗で壁にかかった時計のコチコチという音以外には何も聞こえない

気のせいかともう一度寝なおそうとすると、今度ははっきりと

「ドンドンドン」

と、壁を叩くような音が聞こえた

「えっ?」と思って布団の中から音のした方を見ると、そちらにはドアしかなかった

「ドンドンドン」

激しい殴打の音に、先生が緊急の知らせをしに来たのかと思ったが声をかけてくる様子はない

いたずらか、そう思って起き上がってドアののぞき穴から外をうかがったが、そこには誰もいない

布団に引き返して寝なおそうとする、だが

「ドンドンドン」

再び殴打の音が響いた、今度はもっと強く激しい

「ドンドンドンドン」

と、そこでふと気づいた

 

何でこんなにうるさいのに誰も起きないの?

 

私は急に恐ろしくなった

「ドンドンドンドン」

ドアを叩く音が異様なくらいに強くなる

だがやはり誰も起きない、身じろぎすらしない

その間もドアを叩く音は止まない

すっかり怖くなった私は頭からすっぽり布団をかぶってぎゅっと目をつむり、ひたすら朝が来るのを待った

 

そのまま気を失っていたのか、朝になっていた

「ねぇ、…ねえ!」

目を開けると、隣の子が心配そうにこちらを覗き込んでいて、ぐっしょりと汗をかいていることに気付いた

そこで起きてきた他の子にも昨夜起きたことを話した

 

「いや、ホント怖くて…あ、でもドアは開けなかったよ」

そこまで言うと、一人の顔がさっと青くなった

 

「?…どうしたの?」

私たちは顔色の悪くなった友達を見ながら首を傾げる

 

「あ、あのさ…私が昨日この旅館で火事があって人が死んだって…覚えてる?」

 

何の話かと思ったが、私たちは顔を見合わせて頷いた、そう言えばそんな話もしていたなと

だがその子は震えが止まらない

 

「それがどうしたの?」

「だから!!」

声を荒げる友達、と、ふと私を覗き込んでいた子が何かに気付いたのか「あっ」と声を上げて血の気の引いた顔をした

 

もう一人と私はわけのわからない焦りで「だから何!?」と聞き返す

すると、隣の友人がだから…と青い顔で言った

 

「火事で…亡くなったんだよね…その人」

「うん…」

「……その人、もしかしてこの部屋で亡くなったんじゃないの…?」

 

そこまで言われて私ともう一人も気づいた

4人で言葉を無くす

 

つまり、私が昨夜聞いたドアを激しくたたく音、それは外から叩いていた音ではなく…ずっとこの部屋に…